10月の法話
『幸せな暮らしは自分の笑顔から』--------------------------------

暑い季節がようやく終わりまして、すがすがしい秋になりました。
これから山々が紅葉に染まってまいります。
日本には昔から四季があって季節が巡り巡っておりますが、我々人間の一生も同じだと思います。

インドのヒンドゥー教では、人間の人生を例えると四つに分けられるという考え方がございます。
生まれてから大人になるまでを第一期
成長してから働いて家庭を持つまでを第二期
子供が成長して親としての全ての努めが終わる頃を第三期
第四期は今の日本の言葉で言うと熟年期といいますか、それを当時は林住期(りんじゅうき)と言ったそうですがここでは家を出て自然の中で暮らす『出家』をしたようです。
なぜ家を出るのかと言いますと、もう子育てが終われば後は自分達の人生で、あれが欲しい、これが欲しいというよりも静かに暮らすという事が一番となるようです。
その為には家の中に留まっていてはいけない。家を出なさいという事になっていたようです。

しかし、その考えに倣おうとしてもなかなか我々は思う通りにはまいりません。熟年期になりましても自分の身体の事や家族の事など色々まだまだ悩みや心配事がございます。
これをもう心配するな と申し上げてもなかなかその通りにはいきません。
これを煩悩というわけですが、ひっくり返して申し上げますと迷える内が華なんですね。
いざ事が起きてしまいますと、それだけでは終わらずその勢いでさらに色々な事が起きてきます。
ですから心配出来ている内はまだよろしいという事なんですね。

今日、ここにお集りの皆様のお顔を拝見していますと、実に穏やかな顔をしていらっしゃると私には見えます。
心の中は見えませんが、私にそう見えるという事は他の方も同じように感じているかもしれません。
他の人にもそう感じてもらえていれば、それだけで皆様は他の人に功徳を施しているという事になります。
あの人はいいな。羨ましいな。幸せそうだな。と見られればそれは素直に受け取って、幸せに見えるという事は皆様に幸せを振りまいているのかなと考えていいと思います。

我々はよく、幸せ不幸せを感じる時に他人と比較して初めて分かる事がありますが、実はこれは一番いけない事です。
人の姿よりも自分の今の状態をどう思うかが大切です。
比較をするという事は、まず仏教ではいけない事となっておりますが、付け加えますと皆様のように笑顔を出して頂ければ周りも幸せになりますし、逆に怒りを出してしまうと周りが緊張した状態になります。
ですから、やはり我々は怒るというのはいけません。
皆様も日常の中で腹が立ってカッカした時は、是非鏡で自分の怒っている顔を良く見て、笑顔を作るようにしてください。
そのように笑顔を作ってから外に出れば、その笑顔を見た人がまた笑顔になり皆様の幸せが周りの人にいい影響を与えます。

そんな事を今日お話させて頂いたのも、よく『見た目じゃなく心だ』と言いますけども、やはり“目は心の窓なり”という通り見た感じで我々は随分印象が変わってきます。
ですから、まず自分がいる場所から周りを少しでも幸せにしていけるように、自分がまず幸せになっていくという事が一番ではないかと思います。
その為には怒るという事を極力謹んで、笑顔を作る事をやっていけば自然と生活が幸せになると思います。

以上で10月の月例祭の法要を終わらせていただきます。

今日はありがとうございました。