2015年 3月の法話

『お坊さんはなぜ長生きなの?』

昔から、暑さ寒さも彼岸迄という言葉がありますが、本当にお彼岸になったら冬の寒さが感じられなくなりました。いよいよこれから花のいい季節になりますね。
花で思い出しましたが、この間「羽衣」という能舞台を拝見させて頂きました。舞台終了後の解説を聞いていると、「能は祈りと鎮魂の世界です。」と言っておられました。
これはどうも仏様の世界に通じるものがあるなと感じました。
考えてみますと、我々も祈りというのは日常いつもしております。「明日晴れて欲しいな」というものや「体の痛いところが治るといいな」など一言に祈りと言っても色々な祈りがございます。そういう祈りを集めてギュッと凝縮したものが、能の祈りに繋がっていくのかなという気がしました。
我々は祈りというのを普段は自分の気持ちの中だけで行っているのですが、これが本日の月例際のように大勢で祈りを捧げますと、一つ一つの力が合わさって大きな力になります。その祈りが読経という形で観音様に伝わっております。
そうするとそれを受けた観音様の方にもまた祈りがございます。この観音様の祈りは、「全ての人に幸せになって欲しい。」という事です。人間一人一人お顔が違うように、祈りも人それぞれ様々なものがございます。それを全て受け入れて下さるのが観音様の慈しみの心です。従いまして我々は自分たちの祈りを届けて下さる観音様に対して一生懸命読経、お経をもって応えていく。これは敢えて言えば、我々の祈りのご修行という事になります。
お坊さんが長生きなのは一生懸命お経を読んでいるからです。ですので皆様も月に1回でもこうして集まってお経を読んで行く事は、皆さんの長命に繋がっていくという事になります。
そんな事でますます観音様の慈しみのお心を頂戴出来るよう励んで参りたいとございます。

以上で終わりにさせて頂きます。