2014年 2月の法話

『心の中において欲しい大切なもの』

読経の声を聞いて観音様も喜んでおられると思います。

この間の大雪で観測史上初めて私のところでは70センチほど積もりました。

そんな状態だったので、連れ合いが雪かきに出ようとしていきなり外に出たら雪に埋まってしまったようで、外から「助けてー」って声が聞こえたんですね。

何事かと思って外を見たら案の定で。ひっぱりだしてなんとか事なきを得たのですが、立て続けに今度は屋根の方から落雪がありまして、もの凄いかたまりが落ちてきました。もしあの落雪が連れ合いの上に落ちていたらと考えると身も縮む思いでございました。

このように自然の力というものは本当に凄まじいものがございます。

そういう自然の一方では大きな力、怖さがあるのですが、逆に自然は我々に大きな恵みも与えてくださる事は確かです。

今日あたり外では日差しが春めいて、海もキラキラ輝いて光っているように見えます。あぁ、もう春はそこに来ているんだなぁと感じられます。そしてこの春の訪れとともに今まで周りが茶色い色ばっかりだったのが、柳をはじめぼちぼちと緑が現れてきまして、もっともこの熱海では既に梅が満開でございますし、熱海桜も咲いております。

もうそうやって春は間近となっておりますが、その内春も本番を迎えると一斉に自然が芽吹きます。よく「年年歳歳花相似たり」というのも、「歳歳年年また人同じからず」という言葉がございますが、これは自然も人間も共に変化していきますという意味合いです。これを仏様の教えでは平たく言うと諸行無常という事になります。この諸行無常の中にあって我々は自分が暮らしていく内に、何か心の中に大切なものを持っておりますと、この諸行無常の中にあっても一瞬一瞬その時々を自分が平安に安楽に過ごす事が出来ます。その心の中の大切なものが何かと言いますとやはり、我々の心を通じる仏様の心、この心が我々を平安や安楽へ導いて下さいます。そして我々がこうやって本来全く面識のない皆さんが一堂に会してそして観音様を前にして心を一つにしてお経をお唱えする、こんなすばらしい心と心の結びつきはございません。

我々はみんな観音様に見守られて、観音様の目の前で年々変わってはいきますけれど、その都度その都度このように平穏に安楽に暮らす事が出来る感謝を観音様に捧げる事が出来る喜びを申し上げて、2月の月例祭の法要を終わりとさせていただきます。

ありがとうございました。