2017年 春の大祭の法話

『修行とは』

皆様は比叡山の荒行、千日回峰行(せんにちかいほうぎょう)をご存知でしょうか。この千日回峰行を始められたのは、今から1100年前に亡くなられた相応和尚(そうおうかしょう)という方です。その千日回峰行ですが、織田信長の比叡山焼き討ちで中断となったのですが、江戸時代になって復興し、現在49人目となる釜堀浩元さんという方が千日回峰行に挑んでおります。釜堀さんは次は今年の10月に京都御所へ土足参内をします。土足参内とは千日回峰行を満行した者が京都御所へ加持祈祷を行うことです。その時に千日回峰行の行者はわらじを履いたまま京都御所に上がります。通常、京都御所内は土足厳禁ですが、千日回峰行の満行者のみ土足が許されています。この事はテレビで放送されると思いますのでそのときは皆さんも見てみてください。
千日回峰行で一番厳しい修行が堂入りと呼ばれるものです。9日間にわたり断食・断水・不眠・不臥をしなければいけません。堂入りを無事終了すると生き仏として信仰されます。これらを通過して初めて満了となります。
そのような厳しい修行を始められた相応和尚さんがおられた比叡山は、日本の宗教の母山と言われています。比叡山はたくさんの立派な方を輩出しております。最近では恵心僧都の一千年御忌を行いました。
比叡山は人材育成を一番の目標にしております。人材育成といいますと、今の日本や我々の周り、企業、社会においてこんなにも人材が求められている時代はないかと思います。我々には立派な指導者が必要なのです。その為に我々自身が物事を正しく見ていくことが大事です。例えば気分で選挙に行くような事をせず、この人なら自分たちのことをやってくれる、この人なら正しいことをしてくれるという信念を持って我々が政治家を選び、我々が政治を起こすという気持ちでいることが大事だと思います。とにかく今こそ人材を作るということが大事なのだと比叡山は教えております。我々にとっての「修行」とは何か。それはいかに日々神仏を大事にしていけるか、これが我々にとっての修行になります。ですので、難しいことはないです。お地蔵様の前で手を合わす。神社の前を通ったら手を合わす。そうやって何度も礼拝するだけで気持ちが清らかになっていくのです。今日一生懸命お経をお唱えし、さぞ皆様の心は晴れ晴れとしていると思います。これがお経を唱えることの功徳でございます。
以上で春の大祭の法要を終わりにさせていただきます。