初詣の法話
『より戻される古き良き日本の文化』--------------------------------

「明けましておめでとうございます。今年は兎年です。」

兎は繁殖力が旺盛ですので、どんどん家族を増やす兎のように元気が出る年になればいいなと思っております。
今の日本は昔のような大家族が少なくなり、核家族が増え、親子間や夫婦間の断絶が激しくなり家族が崩壊しつつあるという事が言われてきましたが、ここに来てもう一度家族が見直されてきているとある新聞記事に書いてありました。

なぜかといいますと、今までは日本の国は経済的に余裕があったのですが、ここに来てだんだん余裕がなくなり子育てが若い夫婦だけでは難しくなりました。
夫婦は二人で働きに出て、親が年金生活をしながら子供の面倒を見るという、親と共同で子供を育てるという家庭が増えてきたようです。
昔の大家族のあり方が、多少目的は違いますが見直されてきたという事でしょうか。

経済現象でスタグフレーション(stagflation)という言葉があるのですが、ある程度のところまで行くと必ず戻ってくるという事のようですが、上がったり下がったりそういう繰り返しが歴史の流れの中にもあるかと思います。

1月の2日にテレビで放映されていた映画を見ておりまして、墨攻(ぼっこう)という香港映画ですが、秦の始皇帝が中国を統一する前の戦国時代の中国の歴史を映画にしたものでした。
簡単に内容をお話しすると、その時代には色々な国があったのですが、梁(りょう)という弱い国が、趙(ちょう)という非常に強い国に攻められます。
そこで墨子(ぼくし)という人の思想を継承する革離(かくり)という人が、梁を助けに行きます。
結果そのおかげで梁は救われるのですが、助けた革離自身がその国から追われてしまうようになります。
なぜ追われてしまうのかと言いますと、結局墨子一族の考え方は博愛主義なので、戦国時代に平和を説いても受け入れられなかったのですね。

その時代の流れや勢いというものがあるから、なかなか歴史の勢いには勝てない部分があります。
ですが、先ほども申しましたように家族が復権しつつあるとう事も一方では出てきておりますので、これから日本の国や社会はまた、より戻しの世の中が出てくるのではないかと思います。その中で戦後忘れられていた日本人の良さが見直されてくるのではないでしょうか。

その日本人の心は一体なにかと言われた時に私が考えますには、ご先祖様を中心に家族があるという考え方です。
ここにまた戻っていくのではないのではないかと思います。
その流れは、戦後は都会から地方に伝わって行った文化とは逆の流れで、地方から都会により戻していくのではなかろうかと考えております。
我々一人一人が自分の身近なところから平和にしていかないと、やはり地球上の平和は実現出来ません。
平和の元になるのは、先祖供養を中心とする家族主義が大切になるのではないかと考えました。

口で言うのは簡単ですが、実際身の回りからでも平和にしていくという事は難しいと思います。ですが、我々がせめて胸の中にその事を修めて日々の生活を行う事が出来れば平和が実現出来るのではないかと思います。

今年も良い年になるように、皆様の無事をお祈りさせて頂きまして今年の初詣のご挨拶をさせて頂きます。