2014年 3月の月例祭

『年齢と共に薄れるもの、増すもの』

 昔から暑さ寒さも彼岸までという事になっておりますが、今年もお彼岸迄はずいぶん寒い日がございました。この間3月7日に、京都の青蓮院(しょうれんいん)というお寺で先代ご住職の法事がございまして弔問にいってまいりました。この先代ご住職は、昭和天皇様の奥様の弟さん。東伏見慈洽(ひがしふしみじごう)様という方でして、お年は102歳でした。

その後、3月13日に比叡山で大護摩という大きな行事がございまして行ってきたのですが、これも山の上で冷たい雨の中非常に寒かったです。私どもはかっぱを着て傘をさしていたからいいのですが、法要に出られた行者さん方は傘もささず濡れ放題。まあ大変でございました。その法要に出られました天台宗の座主猊下(ざすげいか)様は96歳です。あの雨の中をしっかりしたお声でお経を上げられておられました。やっぱり、高僧といわれる方は皆さん長生きなんですね。
そこで、なぜ長生きなのだろうと考えてみると共通して高齢のご住職さん達は皆さん優しいんです。
お坊さんも、70歳くらいになるまではどこか元気がいいというか何かあるんですね。でもそれを越えていくと、だんだん強いものが影を潜めていって、そして優しさだけが残ってくる感じになります。非常に皆さん穏やかな目をしております。今比叡山で最高齢が104歳です。それでどうも考えるとやっぱり、お経をあげるというのがいい事なのかなという気が致します。

月例祭に来て下さる皆さんもこうして毎月お経をお唱えしておりますので、長生きできると思いますよ。
ただ、長生きだけでは困ります。元気で長生きしないと。それにはお経の力だけでなく、生きる執念を薄めていく事が大切だと思います。分かりやすくいうと、「ああしたい。」「こうしたい。」という自分の欲望を薄めていくという事です。ですが、これは年と共に自然に収まっていきますから欲を捨てなければと必死で考えなくても、自然と消えていくものなのでご安心ください。またそれに反比例して優しさというのがどんどん増してきます。この優しさが増して来ると穏やかになる。それが長生きに繋がってくるという良い循環になるのではなかろうかと思います。まあそんな事を寒い中経験してまいりました。

今日はお彼岸を過ぎて春爛漫に向かっております。熱海も桜が咲き出し、またこうして皆さんと元気で春を迎えられた事にお喜びを申し上げまして、月例祭りの法要を終わりにさせて頂きます。

ありがとうございました。