2017年3月の法話

『お彼岸は何の為の日?』

今日がお彼岸の最終日という事になります。
彼岸というのは仏様の世界の事をいいます。それに対して我々が今生きている世界を此岸(しがん)といいます。
このお彼岸というのは春と秋の2回、昼の長さと夜の長さが同じ日にあたります。昼と夜が同じというのはちょうど真ん中という事になりますので、おのずから仏様の「中道(ちゅうどう)」という教えが出てまいります。
お釈迦様は、中道という教えを非常に大切にされました。これを違う言い方で申しますとどちらか一方に偏らない、ちょうどいい所を進むという事になります。ところが我々の現実生活で中道を取るのはなかなか難しい場合もあります。例えば、右の人がこう言えば、左の人はああ言う。そして自分はこう思う。そのように様々な考え方や気持ちが周りには沢山あります。決して自分だけが正しいというわけにはいきません。
するとおのずから人と人の間には微妙な擦れや諍いが出てきて、我々の気持ちはだんだん穏やかでなくなり、波風が立ってきます。そこで課題になるのが、普段からこの中道をどのように身を以て活かしていくかという事です。そこで、三つの以下のような考えを持ってみては如何でしょうか。
一つ目は、自分も仏様なのだという気持ちを持ってみるという事です。その気持ちを持って人に接する事が出来れば、大概のことは気にしなくて済むようになります。
二つ目は、色々な人がいると認める事です。この世界は自分一人だけじゃない、色々な人がいる多様性のある世界なのだと。そうすると自分だけが正しいと思ってしまう考え方は薄れていきます。あの人はあの人の考え、私は私の考え、そこで自分を主張するだけじゃなく相手の主張も尊重出来るようになります。このようにお互い様という姿勢になっていきますと、随分気持ちが楽になります。
三つ目は、一つ一つの事に感謝の気持ちを持つという事です。
懐かしい人と久しぶりに再開した時、あの人も元気そうでありがたい事だな。今日自分も何事もなく1日を過ごせた、ありがたい事だな。この感謝の気持ちが日常の中で多くなればなるほど、我々は生きていく事が随分と楽になっていく。これが全て中道に繋がっていくという事になります。
今日はお彼岸の最終日にあたりますが、このお彼岸というのは偏らない心、中道を思い起こすいい機会を先人達が作って下さった。そういう日になります。

ですから皆様も、また今日もこうして月例祭に来られてありがたい。こんな気持ちを持って帰って頂ければ、次回お会い出来る日まできっと穏やかに暮らす事ができると思います。
以上で3月の月例祭の法要を終わりにさせて頂きます。

ありがとうございました。