仏教豆知識
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仏教がなかったら

 もしもこの日本から仏教の彩りや匂いが消えてしまったら、どういうことになるだろう

 我々の生活はよほど寂しく、貧しいものになるにちがいない。
まず山あいのお寺の鐘の響きが、聞こえてくることがなくなるだろうし、除夜の鐘にじっと耳をすます風物詩も姿を消してしまうはずす。
お彼岸やお盆の季節に、ふるさとの墓前にぬかずいて、香華をたむける風景も見られなくなる。
肉親の死にさいして、無常の理を悟るという機会もおそらく訪れることがない。

 我々をとりまく近代的で快適な生活を味わいながらも、疲れ切った神経を茶の湯や活け花によって慰めるといった風流も、おそらくままならないものになるでしょう。
さらにいえば、もしも仏教の無常感覚や浄土イメージが我々の血流のなかに流れていなかったとしたら、「源氏物語」の「もののあわれ」の情調は、よほど貧寒としたものになったはずで、「平家物語」の滅びの美学も生まれなかったにちがいない。
そのすべてが、仏教の豊かな水脈のなかから汲み出されていたのである。
この悩み多い現代社会の中で、我々は今こそ、仏教のこころを見直すべき時にきているのではないでしょうか

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