仏教豆知識
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貧女の一灯

 人は仏様に守ってもらい、健康で幸せに生きたい、そして死んでからは、じごく に行くことなく、ごくらくで過ごしたい、と思うものです。
そして、仏様にお祈りするとき、ちょっとささげものをしたりします。 灯篭(とうろう)やろうそくを寄付したりもします。

 平安時代の藤原道長はちょうていでいばれる役職にあり、一族も繁栄し、娘は天皇様のお妃になりました。
彼はこういう句を読みました。
「この世をば わが世とぞ思う 望月の欠けたることの なしとおもはば」
(この世は私の天下だぞ。満月が欠けることを知らないように、私の人生もどこにも欠けたところがなく満点だ) 位の意味です

 藤原道長は30万灯のとうろうを寄付しました。
けれど、貧しい女の人は一本しか寄付できませんでした。
けれど、仏様からみれば、貧しい女の人の一本は、道長の30万本と同じ価値があります、という意味です。

 その人にとって精一杯の努力は、それが少ないものでも価値がある、ということですね。
「貧しい女性の一つの灯りの力」を「貧女の一灯・ひんにょのいっとう」といいます。

「貧女の一灯」のお話は、昔、おシャカさまが説法なさる時、貧しい女性が自分の髪を切って売り、明かりを一つ買い、差し上げました。
強い風が吹いてきた時、お金持ちの人の寄付のたくさんの明かりは消えたのに、その女の人の寄付の明かりだけは消えなかったお話から来ています。

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